トキワの空:詩語篇
憂春のトキワの空には一団の雪雲が通り過ぎていった。
それは国分運動場から母校へ続く道すがら。
降り続く粉雪はやがて吹雪のように我が身を打つ。
一時ほどで雪は上がったがどうやら右足が痛い。
蛇行するこの道のせいだろうか、あるいはこれまで歩いてきた人生のせいであろうか。
夕暮れ迫るトキワの空には、大怪獣の陰影が似あう。
闇に迫る大怪獣は雄叫びを上げて迫り来る。
それは20年前の帯広から士幌へ続く道での光景に似ている。
あの時も夕暮れの中に大怪獣の雄叫びを聴いたような気がする。
しかしそれも束の間。
一時の感傷は全ての行いを無に帰する。
喉元をすぐれば元の木阿弥ということ。