地球環境原理主義

自然環境や地球環境を気づかいながらも人間としてよりよく生き抜く!

生きていた豚から腸詰:第1幕-第2景

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第1幕-第2景-------

 

  (明かりが入ると、そこは先ほどの部屋)

  

  (サンディの亡骸をまるで検死でもしているかのようなひとりの女性)

 

リットン はい、このテープから入らないで!

 

  (刑事?誰?という男性がいわゆるイエローテープで周囲を封鎖)

 

リットン はい、それじゃまずどうしてこんなことになってしまったのかを

     検証しますね

 

コーディ えっと…

 

リットン いや違う…いや、そんなことどうでもいい。

     私は調査を全面的に任されたベンガルの総督なのですから!

 

ボージョ ええ

 

リットン 大事なのはひとりの人間が殺され私がここに来たということであって、

     原因が何かなんてどうでもいいことだわ

 

ボージョ はぁ…

 

リットン そして最大の問題は、その死をただ手をこまねいて見ているだけしか

     能のないあなた方よ

 

  (無言を貫くコーディとボージョ)

 

リットン いい? あの日私はアメリカン航空587便に乗っていたの

     JFK初のドミニカ・サントドミンゴのラス・アメリカス国際空港行きよ

     たしか午前9時15分頃に離陸したわ

 

  (3人のいる場所はまるで航空機のコックピットのよう)

 

コーディ 機長、乗客は251名全員搭乗済みです。

 

ボージョ そのうち226名がドミニカ人とドミニカからアメリカへの移民、

     つまり里帰りですね

 

コーディ どういう意味?

 

ボージョ いや別に深い意味はないよ

 

  (突如、587便は乱気流に巻き込まれる)

 

3名   乱気流だ!

 

  (コーディとボージョは乱気流の中、必死に航空機を立て直そうとする)

 

リットン 2回の乱気流に巻かれた私はそれが天候のせいだと思っていたけど

     実は直前に離陸した日本航空成田行き47便の後方乱気流だってことに

     気づかぬまま方向舵を過剰に操作してしまったために

     垂直尾翼を折ってしまったのよ!

 

コーディ あぁ〜、折れた垂直尾翼がジャマイカ湾に落ちていく…

 

ボージョ あれは…ロングアイランドの南だろうか…

 

リットン 垂直尾翼を失った機体は、機体制御を失い、2回目の乱気流の直後

     私が右へ右へと必死に機体を傾けたのにもかかわらず

     左向きに急旋回しながら急降下…

 

コーディ ただいまの時刻は午前9時17分です!

 

  (航空機は墜落し爆発炎上する)

 

リットン ケネディ空港近くのニューヨーク市クイーンズ区の住宅街に墜落したの

     乗客乗員260名全員が死亡、さらには墜落によって起こった大規模火災で

     住宅4棟、高校の宿泊施設1棟が全焼。

 

ボージョ 宿泊していた学生全6クラスの各クラス1名ずつは助かったけど

     あとは全員死亡、住民も5名が死亡した…

 

コーディ つまりあなたが全ていけなかったんじゃないか!

 

リットン 3年5組は3名助かったし、3年7組は理数系だから

     その場にいなかったのよ!

     

     でもね、さっきまで全員揃って修学旅行を楽しんでいたのよ!

     クラスでポツンと一人取り残された私の気持ちが

     あなたにわかるっていうの!

 

ボージョ わかるような、わからないような

 

リットン それに責任はむしろあなたにあるわ!

     あれを御覧なさい!

 

ボージョ ん?…あれは…

 

コーディ あれは…クジラ?

 

リットン そう、そうよ!

     ワッデン海国立公園に打ち上げられたあの2頭のマッコウクジラ

     あの2頭の死にあなた方は無関係だとでもいうの?

 

ボージョ 知り合い?

 

コーディ いや知らない合い

 

リットン あの2頭のマッコウクジラのお腹の中にはね

     餌となるイカと間違えて飲み込んだであろう100個以上のビニールゴミと    

     一緒に2台の車も出てきたのよ!

 

ボージョ あ、オレのカマロ!

 

コーディ あ、オレのエルカミーノ

 

リットン それじゃやっぱりあなたたちが…

 

  (二人は丸いサングラスをかける)

 

ボージョ いやそれはない。

 

コーディ 私たちはまったく操られていたのだ。

     稲垣大佐から「司令官の命令として真丸国の領袖になってほしい」と

     依頼があったのだ。

 

ボージョ ああ、私たちの立場は日本の傀儡以外何者でもない!

 

リットン お!リットン調査団っぽくなってきた(笑)

 

コーディ 我が真丸国に派遣されていた顧問の話では、稲垣はもしもこの申し出を

     拒絶すれば生命の危険があると脅迫してきたのだ!

 

  (コーディは、徐々に興奮して語る)

  (ボージョは、稲垣潤一のドラマティックレインを思い切り鼻歌で…)

 

コーディ 本当の気持ちは拒絶したかった!

     しかし4人の顧問は受諾を勧めた!

     当時、日本軍の圧迫をいかなる民主国家も阻止しなかった。

     私だけでどうして抵抗できようか!

     止むを得ず受諾したのだ!

 

リットン (棒状の鞭でコーディの頬を軽く叩く)

 

コーディ 日本は満州を植民地化し、神道による宗教侵略を行おうとしたのだ!

     おまけに私の妻は日本軍に毒殺された…

     真丸国に関する責任がすべて日本にあるのだ!

 

リットン と、スターリンがそう弁明するように言ったのね?

 

ボージョ (鼻歌を止め)そうなのです!

 

  (大きな向かい風が吹く)

  (リットンを守ろうと、コーディとボージョはリットンの前で腕をかざす)

 

コーディ なんだあの雲は?

 

ボージョ あれは…あれは…キノコ…

 

コーディ マツタケ? 舞茸?

 

リットン シイタケよ!

 

  (核爆弾が破裂する刹那、世界のすべてがスローモーションに)

 

リットン 世界が…剥がれていく…

 

ボージョ 終わりなのか?

 

コーディ 始まりなのか?

 

リットン でもこんなの初めて…じゃない

 

ボージョ 繰り返しなのか?

 

コーディ やり直しなのか?

 

リットン 痛いわ…初めてじゃないのにとっても痛い

 

ボージョ 良き経験なのか?

 

コーディ 悪夢なのか?

 

リットン やめてお願い!

 

ボージョ 本当は欲しいんだろ?

 

コーディ 本当は気持ちいいんだろう?

 

リットン …最悪。

 

      --世界中の光が消え、暗転—