地球環境原理主義

自然環境や地球環境を気づかいながらも人間としてよりよく生き抜く!

生きていた豚から腸詰:第1幕-第3景

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第1幕第3景-----

 

  (ピンスポットの中、ボージョの独白)

 

ボージョ 言い忘れましたが…実はワタクシ、アメリカ人のふりをしていますが

     インド人なのです。

     大英帝国の支配から祖国インドを解放しようと本国で戦ってきましたが

     不服従というイデオロギーがどうしても受け入れ難く

     いや、最初は心酔していましたし、これこそが祖国解放の唯一の道だと

     信じてきました。

     しかし…ありゃあダメだ。

     今はそういう気持ちです。

     だからワタクシは、いろいろな国を回って

     「インドを助けてください、ワタクシを助けてください」

     とお願いしました。

     ドイツのチョビヒゲにもお願いしました。

     ソ連のマリオみたいな人にもお願いしました。

     日本のナルヒトさんにもお願いしました。

     そして今ワタクシはアメリカの人にお願いしています。

 

     それにしても蒸し暑いです。

     暑すぎます。

     いろんな虫がたくさん飛んでいます。

     クラクラします。

     ノドがカラカラです。

     お腹もペコペコです。

     もう1ヶ月もろくなものを食べていません。

 

     それでもワタクシが歩みを止めないのは祖国インドのためです。

     たくさんの仲間が死んでいきました。

     立ったまま死んでいる人。

     泥沼のような地面に頭から突っ込んで死んでいる人。

     ジャガーに襲われて食べられてしまった人もいます。

     ニシキヘビに巻かれ引きちぎられた人もいます。

     ですがほとんどの人は餓死か疫病で死んだのです。

 

     それでもワタクシが歩みを止めないのは祖国インドのためです。

     そして…ワタクシ自身の名誉のためです。

 

     目指すのは…ビルマとの国境に近い、インパール

  (「インパール!」という決意の言葉が木霊のように繰り返し、

   やがて変容し…「いやしかし!」)

  

  (陸上自衛隊の迷彩服を着た3人が銃器を構えながら登場)

 

スズキ  いやしかし…蒸すねぇ〜

 

ヨシダ  蒸すねぇ〜

 

オヌマ  ジュクジュクだね

 

スズキ  ああ、軍足の中がジュクジュク

 

ヨシダ  もうどれくらい行進したかなぁ…

 

オヌマ  さぁね…そんなこと聞いてどうするの?

 

ヨシダ  どうもしねぇよ

 

スズキ  ほらほら、規律を乱すなよ!

 

ヨシダ  どの規律だよ!

 

スズキ  オレが喋ったらお前が喋って、で、その次にお前が喋る

     ローテーションのことだよ!

 

ヨシダ  英語喋っていいのかよ!

 

オヌマ  オレたちって口が減らねぇよな

 

スズキ  口は減らねぇだろう!

 

ヨシダ  (オヌマも喋ろうとするが踏みとどまり)

     他の奴らってどこにいるんだろ?

 

オヌマ  そもそもいるのか?

 

スズキ  いたよな?

 

ヨシダ  いたいた

 

オヌマ  取り残されてる感じ?

 

スズキ  ずっと歩いてきたのに?

 

ヨシダ  そういえばずっと歩いてきた

 

オヌマ  ってことは…俺たちだけずいぶん先に来てるのかなぁ?

 

スズキ  あるいは…まったく違う方向に向かってるのか…

 

ヨシダ  怖いこと言うなよ

 

オヌマ  そうだよ…怖いよ

 

スズキ  はじめて意見があったな(笑)

 

ヨシダ  よしよし!…一度休もうか…

 

オヌマ  そうだな

 

スズキ  ああ…

 

  (気づけはそこは密林のジャングル)

  

  (アジア:ビルマとインドの国境付近なのにアマゾンのイメージ)

 

ヨシダ  本当にここってビルマなのか?

     それともインドに入ったのかな?

 

オヌマ  あるいはそのどちらでもないのか

 

スズキ  いやむしろどちらかである必要もない

 

ヨシダ  つまりここがどこなのかということはあまり意味が無いと

 

オヌマ  ああ

 

スズキ  どこから来たのかも意味が無いかもしれない

 

ヨシダ  そしてどこへ行くのかも…意味が無い!

 

  (ジャガーの鳴き声が聞こえる)

 

オヌマ  日本へ戻ったらどうするの?

 

スズキ  転属が決まってる

 

ヨシダ  北海道だっけ?

 

オヌマ  そうなんだ

 

スズキ  お前は?

 

ヨシダ  市ヶ谷

 

オヌマ  本庁かよ…オレは習志野のままかな

 

スズキ  じゃあこれで3人での行動は最後かもな

 

   (ジャガーの鳴き声がより近くで聞こえ…)

   

   (大蛇のシャーっって音が…)

   

   (次第に、3人は狂気に囚われていく…)

 

ヨシダ  ちきしょう、どうしてここにはバチヘビしかいないんだ

 

オヌマ  目がかゆい 目がかゆい

 

スズキ  こんなところに産婦人科が!

 

ヨシダ  なぁ…新田のマサシを覚えているかい?

 

オヌマ  ヒジから何かが出てきた、なんだこのヒモのようなものは?

 

スズキ  お願いします! 生まれそうなんです! お願いします!

 

ヨシダ  まさかこんなにバチヘビばかりいるとは思わなかった

     なぁ新田のマサシ

 

オヌマ  いいから目を閉じろ!

     そうすれば後ろへ走っているような気持ちになれるんだ

 

スズキ  なんだこの感覚は…なんだこの押し付けられるような圧迫感は!

 

ヨシダ  そうだ! 爆竹遊びをしよう!

 

オヌマ  嘘だね、それじゃあまりにも悲しすぎるよ

 

スズキ  あぁ、言葉が溢れて頭の中からこぼれ落ちそうだ…

 

ヨシダ  気をつけろ!

     瓶に入れた爆竹は破裂すると関東一円に甚大な被害をもたらすぞ

 

オヌマ  止まらない。血が止まらない。

 

スズキ  懲罰ではない。(遅刻の)言い訳の内容が良くなく、

     職場の秩序が保てなかった。

     彼は過去にも遅刻をしている。客に迷惑をかける可能性があるため、

     客と接しない仕事、シュレッダー係に変える必要があったんだ

 

ヨシダ  君がシュレッダー係に行けと言われたら?

 

スズキ  (押し黙る)

 

オヌマ  制裁のつもりではないのだね?

 

スズキ  弁護士にアドバイスされて、彼に復帰の提案をしているが、

     金銭面で折り合いがついていないのです

 

ヨシダ  提案じゃなくて人事権で移動させれば?

 

オヌマ  シュレッダー係への移動も人事権でしょ?

 

スズキ  なんだかとっても眠いんだ

 

オヌマ  天使が呼んでいる

 

ヨシダ  パトラッシュ!

 

スズキ  オレは殺しすぎた、殺しすぎたんだ

 

オヌマ  そうか! 右だな、右へ行けばいいんだな!

 

ヨシダ  (左投手の真似をする)

 

   (オヌマとヨシダはそのまま左右へ別れ倒れる)

 

   (するとオヌマは大蛇に半分だけ飲み込まれ、ヨシダは黒豹に半分だけ

    食べられてしまう)

 

 

スズキ  ここにコップがありますね。

     ぼくにはこういうものが時どき

     「ものがある」というふうに見えるんです。

     その時の恍惚とした気持ち。

     そうなんです。

     自分自身が「もの」になれたらといつも思っているんですよ。

 

     山と澄み渡った空、鮮やかな天然色の風景が

     眼前に広がり輝くほどに明るいんです。

     しかしその風景は何ひとつ動かず時間が止まったようで、

     ぼく自身は風景と断絶しています。

     まるで客席から映画のスクリーンを見るような関係にあるのです。

 

     その風景は、ぼくを恍惚とさせ、同時にすごく恐怖させるのです!

 

   (世界中のあちこちで爆弾が炸裂する)

 

   (全世界に存在する爆弾がすべて爆発したのだ)

 

   (それはもちろん核爆弾も同じこと)

 

   (世界中はシイタケの森に包まれてしまう)

 

スズキ  (かつてないほどの大声で)戦争と平和