サガワを待ちながら。:詩語篇
本当は2005.12.23。
ノガーワ河岸には葦の穂が揺れ、水鳥が戯れる長閑な風景が広がる。
対角17インチの産業廃棄物回収を待ちながらやや寒々とした大気の中、ふとサガワ(別名:エス)の事を思い出す。
彼との出会いは約45年前、北関東逆境の街・Hであった。
首から5cm角のチェーンを垂らし耳をキチンと立てやや大きめの黒目をしたサガワは身の丈6尺の偉丈夫である。
彼とともに育った街・Hは北関東の太平洋沿いに存在する工業都市。
背後に阿武隈山地から連なる尾根を戴く細長い街である。サガワは尾根の中腹の集落で生まれた。
子供の頃の彼を知るものは誰もいない。
居るのか居ないのか、両親でさえその存在は希少なものであった。
例えば夕暮れの室内。
昼間から見かけないサガワを心配した母親が呼ぶ声に暗闇から返事をするサガワ。
一日中読書にふけっていたサガワは、薄暗い部屋の片隅に佇んでいた。
そんな5歳の頃。