創世記:詩語篇
その頃は、まだ何も存在しない。
無という空間さえ、空という存在さえ。
しかしそれ以前は、無であり空であった。
もちろん水もなければ神を名乗る者さえいない。
漆黒の空間…いや、黒という色さえ存在しない。
そして時間さえも存在しない象限。
故に、その時がいつ来たのか?
長い間、待っていたのか?
あるいは少しの間だったのか?
とにかくその時は、突然に来たのである。
その時の始まり。
それは音の始まりであった。
音?…音とは?
万物の動く音?…風の音?
いや…
私の知らぬ時から永遠に鳴り続いていた
寸分狂わぬリズム…ビート。
そう…
すべては「音」から始まった。